日本一のバーテンダー

バーのカウンターを守るバーテンダー。
Bar＋tenderの造語で、「優しい止まり木」という意味が発祥とも言われるそうです（と漫画で読んだ）。疲れた魂を癒やすため、カウンター越しに酒を通して心の交流をする…。大人の空間というイメージです。

ところで、八戸にはなんと「日本一」のバーテンダーがいるのです。
「日本一うまい店」みたいな自称ではありません。

全国から腕自慢が集結するコンペティションで、東京などの名だたる名店と争い、堂々の優勝を勝ち取りました。正真正銘のナンバーワンです。

なんで八戸に？？

みろく横丁にほど近いビルで「SHADOW BAR（シャドー・バー）」を経営する岡沼弘泰さん。彼が制したのは「バカルディレガシーカクテルコンペティション2019」です。

バカルディは世界NO.1シェアを誇るラム酒のブランド。
ちなみに、さまぁ～ずは改名前にバカルディというコンビ名でしたが、その由来にもなったそうです。（この情報はどうでもいいですね）

それほどの有名ブランドが主催するコンペで優勝したということです。

世界大会でもベスト8に入りました。

https://www.bacardijapan.jp/event-news/2019/20190222-4462/

セミファイナルを勝ち抜いたファイナリストは岡沼さん以外、全員が東京都内の店に所属。

洗練された都心とは違う環境で勝ち抜くことは想像以上に大変なはず。

2008年よりスタートしたこのコンペティションは、モヒートやダイキリなど、世界中で飲まれている定番カクテルを新たに見つけ出すことを目的にしているそう。腕に覚えのあるバーテンダーが集い、世界で最も権威ある大会の一つだそうです。

そんな、日本一の岡沼さんにいろいろ聞いてみました。

―バーテンダーになったのはいつですか

20代前半はレストランで働いていました。お酒にすごく興味があって、飲み比べしたり、バーに通ったりするようになりました。そのうちに師匠となるバーテンダーから誘われたので、この世界に入りました。

―師匠って？

アークラウンジアンドバーを経営する久保俊之さんです。彼も数々のコンペティションで優勝し、日本一にも、世界一にもなっています。ローズガーデンの茂内真利子さんも久保の弟子で、彼女も数々の大会で優勝しています。この三人はとても仲がいいですね。

―八戸ってバーのレベルがとても高いんですね！

コンペの上位者は東京の人がほとんどです。10年前はなんで八戸が？と業界で言われましたけど、今はさすが八戸！という反応に変わってきています。

―日本一になったカクテルについて教えてください

進化する人をイメージしたカクテル「EVOLVER」です。昨日の自分を越えようとするチャレンジャーを応援する一杯です。

―どんな思いが込められているんですか

世界で活躍する後閑信吾さんというバーテンダーに憧れていました。いつしか、憧れは嫉妬や鬱屈した気持ちに変わり、「なぜ自分は彼のようになれないのだ」という苦しい思いに変わっていきました。そんな自分を救ってくれたのが、ヘミングウェイの残した言葉でした。

―それは一体…

There is nothing noble in being superior to your fellow man; true nobility is being superior to your former self. 意訳すると、「他人より優れていることではなく、過去の自分より優れていることが尊い」という意味です。この言葉に出会って、「自分のベストを尽くせばいいんだ」と心が楽になりました。