音魂馳進 ~たどり着いた温故知新~

音魂馳進 ~たどり着いた温故知新~

SOUND SPIRITS

代表 太田修平

 物心ついた時から、TV、ラジオ、ネット等のメディアから音楽は流れ、まちには半永久的にそこにあった様に音楽は存在する。自分の生活に寄り添っているものとして、これ程自分の人生に影響を与えているものはないと思う。

この世の中には、自分が何かしなくても勝手に溢れ出ていると思いがちなことがいくつか存在する。その一つとして、私は敢えて『楽器』を挙げてみたい。

誰かが一から創り上げていて、この世の中に拡散しているという事実が音楽にはある。当たり前の話だが、誰かが作曲し、誰かが演奏してなくては存在し得ないものである。そんな音楽に切っても切り離せないコンテンツとして『楽器』があるのは、これもまた当たり前の話なのかもしれない。

そんな『楽器』の在り方に、魂を音に重ね馳せ進む漢が八戸にいるとしたら、皆さんはどう思うだろうか?どうせただの楽器屋さんでしょ?と思うかもしれないし、そもそも楽器に興味ない人にはどうでもいい話かもしれない。

それでも、ネット全盛期のこの世でFace to Faceの楽器販売・修理・調整・改造に拘る漢の話には耳を傾けて頂けたらと思う。

 Q、どんな経緯でSOUND SPIRITSを立ち上げたのか?

 太田氏

そもそも僕は早くに社会に出た人間でして。それこそバリバリの叩き上げで、地元老舗楽器店で基本的な社会人常識や楽器のノウハウを覚え、修行させて頂きました。本当に何にも知らない、そこに何も考えもしない人間でした。

でも、ある日を境に地元八戸のバンドマンやプレイヤーの楽器と接していて、良いコンディションで楽器を所有している人が極端に少ない。そこを実感してしまったんです。

そこから、ギターの歴史を意識するようになり、終戦後にアメリカから多くのギター文化が広まり、そこからいまの団塊世代と呼ばれる人たちが世界的に見ても飛躍的にギター製造技術を大きく発展させていった。いわゆる1960年代からの歩みに魅かれそこで何かできないかと考えた結果、オールドギターセラーとしての店を持ちたいと志しました。そういうジャンルはここら辺にはなくて、むしろニッチな部分が強い。そこもすごく刺激的な部分でしたね。

1970年代なんかだと、一大フォーク世代と呼ばれ一家に一台ギターがあるといわれていたそうです。でも、その年代のギターがいかに凄いポテンシャルを秘めていても、保管状態や経年劣化により所謂ガタがきている状態で、そこで楽器の寿命が終わってしまう。そうではなくて、そこをなんとかリペアとコンディション調整をして、再び状態のいい良質なギターとして店頭に並ぶことで、また50~60年後の次世代に良質なギターを残すことができる。それが自分の使命であると考えました。

しかも、ギターの木材は伐採してから20年寝かさないと良質なギターにならないんです。ましてそこから30年とかなると、非常に良質な響きと物自体に価値のあるギターとなり、当時の貨幣価値で2万円程度のものがとんでもない価格のギターに生まれ変わっていく。そこの魅力を知ってしまうと、どうしてもそこから抜けれない、感動すら覚えてしまう。

先程も話した通り、1980年代にmade in japanのギターが世界的に性能と価値が認めらましたが1990年代からは本格的な大量生産に突入し、少し技術面的に安価かつ精度が劣るものが流出していくようになります。

現在は企業努力で品質向上が図れてきてるものの、やはり80年代付近製造のものには個人的に敵わないと思っています。ギターはそういうものだということを若い世代に教えていきたい。そういう気持ちでこの店を立ち上げました。

 

Q、なぜ八戸をチョイスしたのか?

一番念頭にあったのは八戸で音楽をやっているお客様のためです。地元八戸で活動しているバンドマンやアーティストの熱気と感動が交差する演奏がなによりも大好きで、自分を育ててくれたというより、自分を形成してくれた八戸の音楽シーンにどうにか貢献して盛り上げていきたいという気持ちから、この店をやるにあたって八戸で開業しようという覚悟になりました。

その覚悟を固めた時に、やはり八戸のプレイヤーの楽器のコンディションやリペアがどうしても行き届いていないと音と肌で感じ、このままだと八戸の音楽シーン自体が劣化して縮小までしていく懸念を拭えず、今の店のコンセプトにして盛り返そうとしております。

実際、今や新品の楽器ですらコンディションが良い状態であるかといわれたら実はそうではないんです。大量生産の流れ作業の場合、どうしてもクオリティを均質には保てない部分がある。また、店頭販売でそこまでフォローバックできるかと言われたら、少し懐疑的な部分が否めない。ましてネット販売隆盛期の現代ではフォローすらできない時がある。それは自分の目指す音楽環境の在り方ではないと強く思います。

 

Q、SOUND SPIRITSの強み

勿論、いいものをいい状態でリペアし提供することですが、当店ではオリジナルブランドのエフェクター『Custom Legend Series』と『equilibrium Effect Works』を展開しています。

前者はビンテージパーツを使用していまして。これはどうしても戦争が絡んでくる話になってきますが、兵器開発隆盛時代のアメリカ製パーツや鉱物、電子部品、ハンダに至るまでの部品はものすごく精度が高く貴重であり、1940~1960年代のパーツはそれらを使用しているんです。それを流用し組立を行う、ハンドメイドカスタムブランドです。これは非常に高品質かつ現代では再現できない音質を確保することができます。非常にお客様には好評で、当店でしか扱っていないため周辺市町村や県を跨いでも揺るがないストロングポイントとなっております。

後者は全く逆の発想で、一切のビンテージパーツを使用しないで現代の最新技術を駆使して独自の回路設計を行い組み立てるオリジナルブランドです。こちらは前者と比べ前代未聞の発想が飛び出てくるため、ある意味未知のサウンドを展開することが可能です。こちらも今の音楽シーンにおいては大きな武器になる一品ばかりを揃えさせて頂いています。

ビンテージな古き良き物と最先端の新しき良き物。これらをギターでもエフェクターでも扱えて、しっかりフォローバックできるというのは当店最大の強みだと自負しております。

更に、当店ではDTM(デスクトップミュージック)にも注力しております。昔ならばMTRを使用した、金も時間も大掛かりだったレコーディングが、今やPC一つでほぼ全てのジャンルを作曲、レコーディングできる時代になりました。

しかし、価格競争も激しく、PC扱いの敷居の高さ、操作困難のため楽器店が敬遠しがちな分野と言われます。ですが、最新の技術を敬遠するのは地域の音楽シーン的にどうなのかという点を踏まえ、リスクもありますが日々挑戦していき、徐々に普及を促進させ、八戸が全国に置いて行かれないようとは考えております。

経営計画を立てるときに、こういった面を振り返り自分のスタンスとして温故知新を携え前に進んでいけるようにと考えを固めました。

Q,八戸の音楽シーンに楽器屋としてどう関わっていくのか?

 八戸は近隣の地域よりも、主観ではありますが、プレーヤーの数、バンドの数、イベントの数はかなり多いと思っております。

当店としても音楽イベントを開催して、音楽に関わる人たちの輪を広げていきたいと考えていますが、無論仲間内だけの内輪なものではなく地域として全国に誇れるようなもの目指せたらと思います。そのためにも自分にとってお客様との楽器を通した繋がりは常に重要のものと考えております。

Q、最終的な目標は?

自分もよくそこを考えることが多くなりました。基本的なコンセプトは今まで話した通りなのですが、これからはユーザー側にある意味、真意が問われる時代なのかもしれません。

全国的に中小企業を中心として、店舗を構えた楽器店が倒産する傾向があります。地域単位で音楽シーンの盛り上がりの格差が出てきているといっても過言ではありません。

事業展開していった中で得た資金を地域音楽の活性に投資し、ユーザー側もそれを意識したうえで地域の楽器店を活用していくという、エリア一体型のスタイルや仕組み作りが今後は非常に課題になってくると思います。そこをしっかり自分が切り開いていけるように努力していかなくてはならいし、当分の大きな目標になっております。

お客様に夢を持ってほしいというか、お客様の人生の活力になれる音楽環境を提供していきたい。自分が起爆剤となってお客様の人生に楽器で彩りを施していきたいというのは自分の描く夢でもあります。

Q、SOUND SPIRITSのPRを是非!!

家に眠っている楽器、壊れてしまって置物化している楽器、ボロボロで何が何だか判らない楽器、そういったものを諦めないで当店に持ってきてほしいです!!また、最良のコンディション、最適のリペア改造を自分の楽器に施したい方は是非当店に足を運んでいただき、予想以上の所有楽器が持つポテンシャルを体験して頂きたいです!!宜しくお願いします!!本日はありがとうございました!!

 

このように、温故知新の精神を地元八戸に落とし込もうとする気概は、八戸の歴史やまちを切り開いていった先人達に通ずるものがあるのではないだろうか?

実際、私も太田氏と改良を重ねたエフェクターボードを使用しているし、ギターに至っては、ほぼオリジナルギターといっても過言ではない、私だけの音を響かせるギターが存在する。

八戸という地方都市の中に在りながら古き良き物と新しき良き物、相反する二つをバランスよく両立したオリジナルブランドを旗揚げ、地域のミュージシャンたちに提供することで更なるシーンの盛り上げを図り、最先端の技術にも決して地方と言うことを言い訳にせず、ドンドン地元に拡大させていく姿勢に至る。これも温故知新を掲げた彼の信念から来る情熱そのものである。

何よりも、楽器の本当の価値と品質に真正面から向き合い、本来の楽器の在り方を地域に伝えようとするその活動は、心打たれる一つの波動として地元音楽シーンに伝播していき、ゆくゆくは彼が思い描く夢をかなえる確かな手応えになるのではないだろうか?

これから音楽を始めようとする人、これから音楽を再開しようとする人、所有する楽器の真の音色に出逢いたい人、是非この店のドアを開き、あなたの固定概念を捨てて生まれた時の自然体の五感で感じてみては如何だろうか?

 

三代目ジリタキ

 

SOUND SPIRITS

〒031-0039

青森県八戸市鳥屋部町14−2

TEL: 0178-79-4693

FAX: 0178-79-6211

MAIL: ota@sound-spirits.jp

11:00am – 8:30pm

【定休日】

毎週火曜日 / 第2・4月曜日

 

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