8年のサラリーマン生活から一転、東北町で「農家」へと転身した男の挑戦。

いきなりですが、これは何の畑だと思いますか?

 

 

正解はごぼうです!この生い茂る葉っぱと茎の下に、ごぼうがグングンと育っています。

今日紹介するのは、東北町にてごぼう・長芋・コメ・人参を生産する小笠原佳大さん、33歳。

ちなみに、青森県のごぼうは収穫量日本一。小笠原さんが農業を営むここ東北町はごぼう・長芋の一大生産地なのです。

約2年前、お父さんの突然の逝去によりサラリーマンから「実家の農家を継ぐ」というライフチェンジを迫られ、奥さん・2人のお子さんと一家でUターン。農家としての新しい人生が始まりました。

 

農家になるまではどんなことをしていたのですか?

中学生頃から「馬」が好きで、馬の生産や調教に関わる仕事がしたい!それなら北海道だ!と馬術部のある帯広畜産大学に入学しました。念願通り馬術部で馬の乗り方や調教について経験を積みました。卒業後もその想いは変わらず、ノーザンファームに入社。競走馬の育成・調教などに関わる仕事を約8年続けました。

馬乗り時代の小笠原さん。様になってますね~!

そうだったんですね。農業とは全く別世界での社会人生活を過ごしていたんですね。ちなみに・・・「実家を継ぐ」ということはもともと考えていたんですか?

元々は父と母で運営していたので、いつかは継がなければいけないのだ、ということはずっと頭の中にありました。でも、父はまだまだ現役で頑張るだろうと思っていたので、それは結構先の話だろうなぁと思っていて、異動先の滋賀県にしばらくいるだろうと思い家まで建てた位です。

なんと。馬の調教から、野菜の生産へ。大きな変化を、家族で乗り越えてきたんですね。

どうやって野菜作りについて勉強したんですか?

幸いにもまわりには大先輩の農家さんがたくさんいます。「近く通ったから!」と、フラっと来て、色んなことを教えてくれるような人たちもいます。ありがたいですね。それ以外にも、他の地域で同じ作物を作っている人の情報発信をネットで調べたり、色んな農家とのつながりをもつ資材屋さん・肥料屋さんに聞いたり、と様々な方法で情報収集をするようにしています。

 

農家になって2年、振り返るとどうですか?

いい意味で自分は「よそ者の視点」を持っていると思っています。サラリーマンから農家になっているので、農業経験はまだ浅いですが、だからこそこれまでのやり方に縛られず、とらわれず、どんどん新しいことに取り組める。例えば、今力を入れている長芋ですが、父がやっていた減農薬を引き継いで、少ない農薬使用で高品質なものを出荷することに挑戦しています!従来のやり方で育てたものと、この減農薬で取り組んだものと、畑を分けて育ててみて品質にどんな違いがあるか実験してみましたが、味に大きく違いが出ました!

こちらは長芋。ツルをぐんぐん伸ばし成長していくそうです。

 

実験・・・農家って、体力勝負かと思いきや頭も使うんですね!

何㎝間隔で種をまくか、どれくらいの間隔で畝を作るか、それでどれ位の収穫が見込めるか。農業は常に計算が求められます。理系の頭でないときつい、と思いますね。

ふむふむ。話を聞けば聞くほど、農業のイメージが変わってきたぞ。

愛車のトラクター。なんと、GPSが使えるようwifiが飛んでいるそうです。

収穫した野菜は、どこに出荷してるんですか?

十和田や八戸、青森にある卸売市場やJAに出荷してます。ごぼうは大手スーパーの契約農家になっていて九州へも届けられています。作った野菜を自分で市場に持ち込むことで、周りの出荷量・出荷時期で変動する市場価格を読んで調整することもできます。例えば出荷が1週間違うだけで買取価格が大きく変わる、なんてこともよくあるんですよ。

なんだか、ギャンブルのようであり、マーケティングであり。農家の仕事って、幅広いんですね~!驚きました。

長芋を見つめる小笠原さん。愛情を感じますね。

農業、楽しいですか?

楽しいですよ!毎朝、一番愛着のある長芋畑をコーヒー片手に歩くんです。毎日見ていると「あ、ツルが伸びてきたな」とか「葉っぱが少し黄色くなってきたから薬まこうか」とか、いろんな変化に気付けるんです。毎朝、この時間が至福なんですよね(笑)周りの農家はそんなことしている人はいないので、「あいつまた畑見てるよ」みたいに思われているかもしれませんが…(笑)特に早朝畑を歩いているときは、カモシカが出てきたりもします。

真ん中が小笠原さんが今朝歩いた足跡だそう。カモシカとか・・・怖い!笑 

今後、どんなことに挑戦していきたいですか?

やりたいことは山ほどあります!近くの小学校が廃校になっているのですが、そこを活用して農作業場にしたら周囲の農家にとっても使いやすいのでは?とか、加工場にして六次産業化できないか?とか。地域の農家同士がもっと連携を強められる余地は大いにあるなと。でも、まずは自分の足元を固めるところから、ですかね。自分がここでふんばり、楽しみながら農家をすることで、自分の子どもたち世代に「農業って面白いし、儲かるんだぞ」と、伝えていきたいですね。

長芋もごぼうも、スーパーに並んでいる姿は知っていても、それがどんな風に植えられ、育ち、収穫するのかというプロセスを知る機会はなかなかありません。土・緑・空の綺麗なコントラストを眺めながら、ここで子育てをしていくなら、そんなプロセスにも触れ、土にも触れながら育つ子どもになってほしいなぁと思いました。

秋ごろ、収穫時期を迎えます。その頃にまた、この野菜たちの収穫編もぜひお届けしますね~!

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