貴女を包むテントを創る~四代継承 DAIKATU物語~

貴女を包むテントを創る~四代継承 DAIKATU物語~

株式会社 ダイカツ

専務取締役

大橋 央雅

とかく見落としがちではあるが、我々が住み暮らす生活環境の中には、シートやテントを活用したアイテムが多く存在する。運動会や野外イベントには集会用テントが、トラックや簡易キャンピングカーの荷台には幌やシートが、カフェのオーニングは勿論、看板や広告物としてもシートやテントは活用される。最近の工業業界ではコスト低減や使用時の利便さ、話題のSDGsの面からはリサイクルを考慮して、倉庫にも十分に耐えうる『テント倉庫』なるものまで出現している。また、東日本大震災時には避難所だけでは避難者のプライベートスペースが確保できず、右往左往していた時に大いに実力を発揮したのが簡易用テントだったりするのも記憶に新しい。

要は、施工が比較的簡易でありながら、十分な耐久性と快適性を保てるのがテントやシートの特徴とも言えるだろう。

我が八戸は意外にも『ものづくり』に対し、非凡ならざらぬポテンシャルをもっているのは皆さんもご存じかもしれない。しかし、87年も前から八戸の地において顧客ニーズの詳細な注文に対応し、常に最適な商品を提案、その一つ一つが完全受注生産のオーダーメイド方式を貫き通す、正に職人気質のテント・シートのものづくり集団がいるのは御存じであろうか?

それが今回の主役、株式会社ダイカツの若き職人、大橋央雅氏である。

Q.先ずは会社の歴史をお願いします。

大橋氏

そもそもは曽祖父である『大橋 勝三郎』が八戸の地で馬具を制作販売しておりました。名前の通り、社名のダイカツはこの曽祖父から名前をとっております。

1933年に祖父の『大橋 十久満治(とくまんじ)』が皮革や帆布を使い馬具制作会社として創業、後にシートや幌、旗、幕、等も制作するようになりました。テントの制作に関わりだしたのは確か56年頃と聞いております。59年に株式会社『大勝商店』として株式会社化しまして、平成13年に株式会社『ダイカツ』と現社名に変更になりました。なので、祖父をダイカツ初代と数えれば、もし私が代表になったとしたら私は四代目ダイカツを襲名することになりますね(笑)

昔は八戸市新荒町に工場がありましたが、今は現在地の長苗代に本社兼工場を構えております。旧工場は震災も耐えましたが、数年前の台風で屋根が吹き飛び、老朽化が否めませんでしたね。それだけ旧工場は頑張ってくれていたと、あの工場には感謝しかありません。

Q.扱われる商品にはどのような物があるのでしょうか?

大橋氏

意外に思われるかもしれませんが、これでも多岐にわたる製品を扱わせて頂いております。インクジェットで印刷した懸垂幕、横断幕、紅白幕、精密機械用のポーチや鞄、機械設備専用のカバー、オフィスなんかでは室内仕切り用の間切りカーテンなども需要のある商品ですね。補修作業もしておりますから、自動車の内装・座席のシート張替、飲食店様で扱うソファーやベンチシートの補修なんかも扱います。無論、シートとテント制作は主力です。遊休スペースを有効活用できる『テント倉庫』は工業関係のお客様から多くの問い合わせが来ます。確認申請込みでおおよそ3か月程で製作可能。骨組みの構造やパイプの太さを調整することで積雪にも耐えきりますし、解体時の処理コストは火を見るより明らかです。基本的に青森や岩手県が主な営業エリアですが、おかげさまで大阪市の業者様からテント倉庫の受注を頂いたこともあります。

Q.基本的にはどういった工程があるのですか?

大橋氏

テントにしろ、シートにしろ、私たちは大小問わずオーダーメイドを基本としております。採寸から始まり、素材選び、設計ともいえる展開図の作成、裁断、縫製加工が大体の流れです。例えばテント倉庫であればお客様から出入口の位置や数、デザインといった要望をお聞きし、設置場所の現地調査を踏まえ展開図を作成します。そこからCAD(コンピューター利用設計システム)を使用し詳細な設計をし、寸法が適正かどうか判断します。完成時に皺が生じないようにすることを特に考えておりますので、採寸が重要になります。素材によって伸縮性も強度も違います。メインの縫製加工では高熱でシート素材を溶着させる『ライスター』という機材を使ったり、1メートル区切りの溶着が可能な『高周波ウェルダー』という機材を使用します。また、熱加工が難しかったりより細部な部分はミシンでの手縫いを施します。ここが非常に技術的に問われる部分ですね。

Q.御社のこだわりや強みを教えてください。

大橋氏

やはり、なんといっても『美しい商品』をお客様に提供することです。皺や汚れは論外。だからこそオーダーメイドに拘りますし、品質には一切の妥協をするつもりはありません。お客様からの依頼に真摯に応え続け、そこから得る経験を積み重ねることでより明確な提案もできると思っています。そのためにも弊社では国家資格である『帆布製品製造技能士』がそろっておりますし、最高品質を追い求めるべくその中で最高の1級技能士が4人います。少数精鋭で確かな技術力を提供し、八戸のものづくりの発展に微力ながらも貢献したいと考えております。

Q.最近、ダイカツというワードが小さなお子さんに人気な点について

大橋氏

それは(笑)。主に三代目ジリタキ氏の尋常ならざらぬ望まない発信力のせいです(笑)最近、幼稚園又は小学生低学年くらいのお子様から『ダイカツだ!!』と声をかけられることがあります(笑)少し休憩にと弊社営業車で休んでいると、のぞき込まれたり、ノックされたり、最近では大笑いしながら近づいてくるお子様もいらっしゃいました。

Q.御社営業車、所謂ダイカツカーを見つけると幸運になる、願い事が適う的な噂については如何でしょうか?

大橋氏

あなた、、、また良からぬこと考えていませんか??それで皆が幸せになるならば、私は甘んじて受け入れましょう。

Q.最近はサバゲーチームの事務局の要として御活躍と聞きましたが。

大橋氏

もう(笑)会社関係ないじゃないですか(笑)

でも折角なんでPRさせてください。今、八戸市を中心に『H銃Cサバゲー愚連隊』というサバイバルゲームチームに所属しております。アタッカー、スナイパー、様々なプレイヤーが所属するものすごく個性的なチームです。昨年発足したばかりのチームですが中々に味のあるチームだと思っています。シーズンに入りましたら再度活動していきたいと考えております。参加者というより、是非うちのチームと対戦を!!という方、この記事をご覧になって御興味をお持ちになりましたら御一報いただきたいと思います。宜しくお願い申し上げます!!

本日は弊社を取り上げて頂き本当にありがとうございました。これからも八戸のものづくりに少しでも貢献できるように会社社員一同精進してまいります。本当にありがとうございました。

 

……如何だったでしょうか?

 

まず100年弱の間『ものづくり』に対し、八戸の地で大橋家4代が紡ぐ歴史たるや、これだけで感涙モノであると素直に思いました。

縫製製品は我々の生活に身近にありながら、優れた利便性とアイディアによっては様々な新しい発展を遂げる現代社会には欠かせない分野であることを知りました。一切の妥協をしたくないと言い切るスタンスに職人の気質すら感じさせる、まさに『縫製のプロフェッショナル』と言えるでしょう。

各種製造業が盛んな工業都市・八戸。その中でも地域産業の多様化に貢献しその存在感を確かな物にしている稀有な企業であり一族だと感じました。

意外だったのは、縫製品であればなんでも受注する『何でも屋』であること。実際に足を運ぶと、完全オーダーメイド品がズラリと並んでおり、鞄、ポーチ、ホルダーなどは勿論、デコトラの車内装飾、特殊素材のベンチシート、特殊な幌、どう使うかも想像できないテントがキラキラと輝いている。そして、加工されるのを今かと待っているように製品よりも多種多様で種類も数えきれない生地がそれこそ山のように並んでいました。

現在では俗にいう職種飽和の時代だと言われて久しいです。

ニートやフリーターが増える一方、一定の企業以外は働き手が足りてない。特に地方都市にそれが顕著にみられる時代です。『自分らしさ』や『労働条件』ばかりに目が行きがちで、何も成さない、何も残さない、でも人一倍何かを埋めようとする承認欲求だけが強くなる。そんな若者が増えているのは間違いないでしょう。

そのような時代、このものづくりの職人達は、縫製製品を通して自分の技術と情熱とクオリティを後世に残し、お客様の満足のためにその一針、その1㎜、その瞬間に自分の可能性をすべて費やすその姿にこそ、人生の豊かさがあるように思えた。それが八戸にも存在すること。ここが素晴らしい。

ふと、株式会社ダイカツを取材した後に思い出したある著名人の名言がある。

『コツコツと、少しでも完璧な物を作ろうと来る日も来る日も工夫に工夫を重ねて、何代も受け継いできた技がある。そんな職人達にとって、ものづくりが人生なんだ。継承する人も材料も手に入らない。こういうことを助けるのが国だろう、それが文化を守るということだ   黒澤明 』

もしかしたら株式会社ダイカツは文化を形成しているのかもしれない。

ちなみに、大橋専務は絶賛彼女or嫁さん募集中であります。こちらも御興味あるかたご連絡頂きたく存じます。

 

三代目ジリタキ

 

株式会社ダイカツ

 〒039-1103

青森県八戸市大字長苗代化石85−3

0178-27-1234

 

 

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