半径1kmのヒーロー

介護施設ってどんなイメージだろう。

正直、あまり明るそうな印象はない。

そんななか、十和田にカフェみたいな施設ができたらしい。

見学にいってみた。

 

白壁が美しい

 

十和田市西11番町にある「小規模多機能ホーム くらしの家」。

真っ白な外壁、木をふんだんに使ったナチュラルな内装。

 

見たらデジャヴに襲われた。

なんか見たことある気がする…。

 

そう、「無印の家」のイメージだ。

オープンした時、モデルハウスと勘違いしたカップルが見学していったらしい。

デザインは大いに参考にしたそう。

白を基調にした建物は、さわやかな木の香りがする。

 

光あふれる室内

 

たくさんの窓から入る日光がまぶしい。

光の下、おばあさん達が笑いながらミズの葉っぱをとっている

冗談を言いあい、会話も弾んで楽しそう。

 

笑顔が素敵

 

設立したのは、複数の介護事業所を経営する「合同会社くらしラボ」の代表を務める橘友博さん。ガチムチのプロレスラー体型だ。

生まれ育ちは十和田市で、施設から半径1km内で人生の大半を過ごしてきたそうだ。

 

店主スタイルが似合う

 

柔道、極真空手を学び、高校卒業後は東京の専門学校へ。

K-1選手を目指していた時期もあるらしい。

全国から集まるツワモノにもまれて、夢は早々に挫折してしまった。

 

橘さんとは年齢が一つ違い。

自分も若いころプロの総合格闘技選手を目指していた。

そして早々に挫折した。

 

経歴も体型もよく似ている。

強いシンパシーを感じるなぁ。飲みに行きたい

そんな橘さんに色々聞いてみました。

 

家具や棚もナチュラル基調

 

―きれいな施設ですね。

無印の家が好きで、知り合いの工務店さんになるべく近いイメージで建ててもらいました(笑)

 

―最初は介護事業をやる予定ではなかった?

児童支援をする仕事につきたいと思っていました。親がいないとか苦労している子どもたちの力になれる仕事がしたくて

 

―タイガーマスクですね(古いか)。

そうですね。今もその想いは持ち続けています。くらしの家の二階はフリースペースになっていて、近所の人も利用できるようになっています。子どもが宿題しに来ます。目の届く子どもが困っていたら助けたいな、と思います

 

開放感あふれる二階。ハンモックもあるよ

 

―どうして介護の道に?

祖父の死がきっかけです。専門学校で介護についても学んでいました。ウチは両親が共働きだったので、祖父母にかわいがってもらって、感謝もしていました。祖父の死が近くなったとき、頭が真っ白で何もできなかった。その時の無力感をもう味わいたくなくて、この道を選びました。

 

―熱い想いがあるんですね。

この地域で育って、子どものころからたくさんの人に助けてもらいました。他と同じようにここも若者が減りました。世話になった人の中には、一人暮らしでさみしく過ごしている人もいます。そんな人に恩返ししたいです。

 

みんな楽しく

 

―利用者さんは古い知り合いもいるんですか?

近所の方が多いですね。この地域に育ててもらって、歩くと声をかけられます。私も子どもも、これからもこの地域に世話になるつもりです。地域がよくなるか悪くなるかは、すべて自分たちに返ってくると思って日々を生きています

 

―町内の守り手ですね。

社会問題はいろいろありますけど、世界を変えるとか大きなことはできません。でも、昔から知っている町内なら自分が働くことで困っている人を助けられるかもしれない。半径1kmでしか通用しない人間ですし(笑)、この場所を守りたいと思っています。

 

―どうして独立したんですか?

もともと、高齢者のケアプランを作るケアマネージャーという仕事をしていました。仕事の一環でいろいろな施設に伺います。印象に残ったのは、ケアプランを作った利用者さんが、介護施設でつまらなそうにしていることでした。それなら、「高齢者が楽しく過ごせる施設を自分で作ってやろう」と思い、勢いもあって独立しました。

 

―事業所のモットーがあれば教えてください。

キャッチコピーは「あなたのふつうを考える」です。人それぞれ、”ふつう”の生活は違います。調子が悪くなっても、それまでその人が暮らしていて、幸せを感じていた日々を実現できるようサポートしたい。何気ないふつうの日々を大切にしています。

 

そのうち世話になりたい

 

 

―地域にとってどんな存在になりたいですか。

世界を変えるとか大きいことはもちろんできません。半径1kmくらいなら目が届くので、みんなに知られて、困ったら頼られる存在になりたいですね

 

半径1kmは俺たちにまかせろ!

 

~取材を終えて~

 

マザーテレサは「世界平和のために何をするべきか」と聞かれたとき、「家に帰り、家族を大切にして」と答えたという。

 

僕たちは世界を変えることはできない

橘さんも自分もアラフォー。不惑を迎えると自分の限界が嫌でも見えてくる。

無力さに悔しい思いをする同世代は多いだろう。

 

だけど、目に届くエリアだけなら自分の力で変えることができる

 

橘さんのような存在が世界中に広まったとき、世界平和が実現できるのかもしれない。

少しずつ前に進んで、八戸圏域を理想に近づけていこう。

 

そんなポジティブな気分になった一日でした。

とりあえず飲みに行こう

 

「小規模多機能ホーム くらしの家」

 

【住所】十和田市西11番町3-20

 

【電話】0176-22-2356

 

https://kurashilabo.site/

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