八戸の夏は短い。というかほぼない。
7月半ばまでストーブを焚いていた。
これは異常気象ではなく平常運転。われわれは夏の短さに慣れきっている。
だからこそ一瞬の夏はアツい。
8月上旬に日程をかぶらせまくって祭りを開催する。
大きいのだと青森のねぶた、八戸の三社大祭、五所川原の立佞武多。全部同じ日です。
観光客はハシゴではなく選択制。なんでだよ!
町内会とか老人ホームの納涼会もやたらこの時期に集中します。
勘弁してほしい。三社大祭に行きたい人もいるじゃない。
でもしょうがないんです。夜まで暑いのはここしかないから。
地上に出たセミのように、青森人は県全体でひとときに魂を燃やし尽くすのです。
今年は三社大祭を楽しもう…と思っていたら変な案内が来た。
なんだこれは。
盆踊りとダンスミュージックを交互にかけて老若男女が入り乱れて踊ると。
行くしかねぇ。
仕掛け人はこちら。
アフロに謎のハッピ。手にはイカ。
生まれてはじめて初対面の人に「何者ですか?」と聞いてしまいました。
怪しい人ではありません。
三島上(みしまうえ)町内会長、47歳の佐々木”デッかいトイプー”孝雄さんです。
三島上は海沿いの白銀地区にあり、漁師町として栄えた八戸市におけるかつての中心地でした。古くから大漁や安全を祈願された由緒ある三嶋神社があり、名水の産地として知られます。
会長になったのは38歳のころ。
中心が市街地にかわり地区全体が勢いを失っていくなかで、「子ども会や盆踊りで世話になった恩を返したい」という思いで引き受けたそうです。
ジェームス・ブラウンが好きで、アフロになったのは三年くらい前。
家族も職場も最初はなんだかなぁ…という感じでしたが、次第に受け入れられたそう。
たしかに、天然パーマがアフロっぽくなってるおじさんがいますよね。。
会場にはDJブース。
DJマコケル(マイケルジャクソン風パフォーマー)がおじいさんおばあさんを煽って盛り上げていきます。
これはなんだ。
スマイル的なやつでした。
もはや原型がない。
アフロ、出撃準備完了。
すろがね(しろがねではない)青年部のTシャツだそう。
DJブースから放たれる八幡馬(やわたうま・三波春夫の歌うご当地盆踊りソング)にのってアフロが躍る。別のアフロも踊る。ゆかた美女もおばあさんも踊る。
盆踊りソングからつないで続くのはパプリカ。
子どもが躍り、大人はハンドクラップで応援。
そこに続くのはUSA!
マコケルは流す!
アオる!
踊る!
の一人三役。真夏に長袖とハットで暑くないのか!
祭りは最高潮。
最後はイカをかぶってみんなで踊る!
人数は多くないけれど、踊り手の笑顔がとても印象的でした~
白銀地区も子どもが減っていて、活動も昔ほど活発ではありません。
そんななか、町内会長になったとき、「まず自分たちが楽しもう」と思ったそう。
盆踊りでダンスミュージックを流すことを決めて、自分にとって楽しい空間を作りました。結果として老若男女が集まるようになり、世代間ミックスできるイベントが実現しています。
いつか「ジェームス・ブラウンが鼻から煙を吹いて運行する山車」を作りたいそうです。
デスコナイトは2020年も三社大祭と丸かぶりの日曜日に開催予定。
観光の足をのばして、ついでに踊ってはいかがでしょうか。
~取材を終えて~
デスコナイトの翌日、九州からきた親戚を連れてねぶたを観にいきました。
観光客はたくさん。盛り上がりは半端ない。
ハネトも観客も「ラッセーラー」の大合唱で盛り上がっていました。
祭りは見るのは楽しいけど、参加するのはもっと楽しい。
規模はぜんぜん違うけど、参加者の楽しみ方はデスコナイトも負けてなかったです。
「文化の継承」とか「まちづくり」も大切だけど、自分たちが楽しむことがいちばん大事なんだろうなぁ、と思いました。
来年もなんかの祭りに参加しよう。
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