ラーメン屋になってみた

昔から「ラーメン屋になりたい」と思っていた。

マニアではない。

ラーメンは月に2~3回食べるくらいで、ごく普通だと思う。

ラーメンではなくラーメン屋に憧れた

 

上野「麺処晴」のラーメン。こんなのを作りたい

 

行列店では、店主がタオルを巻いて腕を組んでいる。

店内は私語がなくヒリヒリしたムード。電話はもちろん禁止だ。

取材には無愛想に対応しつつも、おいしいと言われれば心底嬉しそうにする…。

傍若無人のような、人情味あふれるような、そんな人になってみたいと思った。

 

とはいえ、自分が店頭に立つことはむずかしい。

事務所を閉めて店を開いたらみんな驚くだろう。

クライアントも困る。家族も猛反対だ。

なので、趣味でラーメンを作っていた。

 

卵に穴をあける道具。ゆで卵の殻が気持ちよくむける

 

チャンスがないな~、と思っていたら突然オファーが来た。

三戸エキマエヒロバ」でラーメン屋をやってくれと。

会場に隣接するカフェ・南部どきを貸してくれるらしい。

これはやるしかない。

 

試作ラーメン。きくらげは朝市で中国人から買った

 

ところで、自分は人の言うことを聞かないタイプだ。

通信簿には「授業を聞いていない」と書かれていた。

格闘技でも技を教わったことがない。(準備運動もしない)

受けた資格試験(公認会計士や司法書士とか)は専門学校に行く人が多いけど、自分は行かなかった。本になっているのでよかったら買ってください。(宣伝)

 

公認会計士試験 社会人が独学合格する方法

 

司法書士試験 独学で働きながら合格する方法

低評価のレビューは禁止です

ギフトに最適です

教わるのはどうも向いていない。

なんか自分でやってみるのが楽しい。

よく失敗もする

 

ラーメンも自己流だ。

初めて作ったときも適当に鶏ガラやら煮干しをしばらく煮たらうまかった

 

というわけで、なんとかなるだろう、とたいした準備をせずに当日を迎えた。

台風が接近して小雨が降っており「あまり客は来ないだろう」と気楽に考えていた。

 

会場についたのは9時半。

バカでかい寸胴に少しビビる。

寸胴でスープをとるのは初めてだ。

 

準備をしていると材料の鶏ガラを忘れたことに気づく。

家の冷凍庫に入れっぱなしだった。

慌てて会場にいたダイチに買いに行ってもらう。

 

スープを煮始める。

いつもどおり、煮干しやら鶏ガラやら昆布やらサバ節やらかつお節やらを煮込む。

水の量はなんとなくだ。

いつもならこれでうまくいく。

(写真は撮る余裕がなかったので家で作ったときのもの)

 

まだ余裕があったころ

 

1時間半経過。

醤油ダレ、魚粉とラードを焦がして練った魚油、鶏皮やぽんじりと煮干しを煮込んだ鶏魚油、トッピングの準備もできた。あとはスープができればOKだ。

寸胴からスープを取り出して味見してみる。

まったく旨味が出ていない…。なぜだ。

大量に作ると味が出るまで時間がかかるらしい。知らなかった。

 

11時。

焦っているとカウンターから「ラーメンできますか?」の声が。

まだ無理だ。これは人様に食べさせられない。さらに焦る。

あっさりとこってりの二種類を出そうと思っていたけど、オペレーションが無理そうなのでやめる。

 

いっせいに「煮干しラーメン 500円」のポップを書いてもらう。

貼りだしたらすぐに「ラーメンできますか?」の声が。

いっせいの「今日はラーメン(の注文が)出るぞ」の声に冷や汗が出る。

 

味玉はうまくできたというのに

 

11時半。もう一度味見する。

まだ薄い。もっと煮込みたい。

しかし、今度は「ラーメン何時からですか?」の声が。

さすがにタイムリミットだ。11時45分からの開店に決める。

 

オープン。

さっそく4杯の注文が入る。

麺を鍋に投入。

醤油ダレ、二種類の油を入れてスープを注ぐ。

味見したら、なぜかおいしくなっていた。ラッキーだ。

 

麺テボ(ラーメン用のザル)はない。カフェだから。

1分ゆでて、普通のザルですくうことを試みる。

熱い。マジで熱い。熱湯から麺を出すのは大変だ。

とりあえず4杯提供。

 

すぐに3杯の注文。

なぜか厨房にいたDJヨースケ(ナイトメイヤーの人)に「ザルに麺を入れたままお湯に入れると良い」と助言をもらう。試してみるとずいぶん楽になった。いけそうだ。

スープがちょっと薄い…という罪悪感を抱きつつ3杯仕上げる。

 

どんどん注文が入る。

ちらほら、facebookの予告を見た知人も来てくれたもよう。

テンパって挨拶する暇もない。

中学校、高校の同級生、幼稚園のママ友も来てくれたらしい。

セイヤ(同級生でパセリー菜の専務でカメラマン)も手伝ってくれる。

助かる。

 

12時半。ここまで30杯の提供。

麺の配分がむずかしい。量が多いどんぶりと少ないどんぶりが…。

この時間に来てくれた方、すみません。

スープを味見してみると、すごくおいしくなっていた。

安心した。

 

我ながらうまそうである

 

雨が上がり、イベントの客足が伸びてきたようだ。

カフェ店内も賑わう。ラーメンの注文も増える。

ふだんはおしゃれなカフェに煮干しのにおいが漂っている。

常連客はさぞ驚いたろう。

 

13時。45杯提供。

ここで味玉が品切れ。

チャーシューを代わりにサービスしよう、と思ったらこちらも残り少ない。

 

しょうがないので在庫がある麺を増やす。

ここから勝手に大盛ラーメンにした。

 

注文は途切れない。弁当やフルーツの差し入れが入るものの食べる暇がない。

スープを煮っぱなしなので汗はダラダラ。

店主がタオルを巻く理由がよくわかった。

 

煮込むほどうまみが増す

 

13時40分。62杯提供。

魚油、鶏魚油が品切れに。

ここで閉店となった。

 

腕、手首、腰が痛い。

全身に疲労を感じる。

格闘技ではほとんどないのに。

 

ずーっと焦りっぱなしで、あたふたし続けた。

椅子に座って水を飲み干す。喉にしみいるうまさ。

差し入れのフルーツ串を食べる。甘さで視界がクリアになっていく。

 

本当に疲れた。でも楽しかった。

飲食店へのリスペクトが深まる一日でした!

 

~ラーメン屋を終えて~

 

夢がかなってよかった。

タオル巻き&腕組みの写真を撮り忘れたのが残念だ。

 

厨房を出ると「おいしかった!」と次々に声をかけられた。

友達の子どもとか、息子の同級生とか、幼児に評判がよくて嬉しい。

本業での「ありがとう」も嬉しいけど、「おいしかった」はまた別の嬉しさがある。
飲食店をやりたい気持ちがさらに高まりました。

 

次は11月4日の「おいらせ子ども食堂」でラーメン屋になる予定です。

 

追記:記事を読んだ妻から「なんかアバウトにラーメン作りすぎじゃない?」といわれましたが、まじめに心を込めて作っております!

2 COMMENTS

アバター さおり@古民家髙山

石動さん、ご無沙汰しております。
この記事を読んで、行けなかったことをますます後悔しました…涙
また何かの折にお会いできることを楽しみにしています!(*´∀`*)

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