食べたあとにお客さんが夢を語るという風変わりなラーメン屋がある。
「ラーメン荘 夢を語れ」という店で、京都で始まり今はボストンにも店がある。
先日、創業者・西岡津世志さんのトークイベントがあったので行ってきた。
夢を語っているとき、誰でも楽しくてポジティブになる。
若者が楽しく生きられる世の中を作るため、夢を語る店を増やしたい――。
そんな趣旨だった。
「夢」の定義はやりたいことならなんでもいいそうだ。
カレーを食べたい、メイド喫茶に行きたい。
本当に好きならスパイスに詳しくなり、店を出したくなり、カレーで世界を変えたくなる。
段階を踏んで人生を楽しむことが重要らしい。
自分の夢はなんだろう。
そう考えた時、ブルーハーツの歌が頭に流れた。
あれもしたい、これもしたい、もっとしたいもっともっとしたい。
山のようにやりたいことがある。
今はとても欲しいものがある。
バスだ。
とても大きいバスがほしい。
実は、クラウドファンディングでバスを購入する資金を募っている。
バスを食堂車に改造して、児童養護施設などに豪華な食事と思い出を届けたい。
200万円が目標だ。
READY FORのページ↓
青森県の子供達にこども食堂バスで美味しく楽しい食事を届けたい
2019年から仲間と一緒に十和田で子ども食堂をやっている。
「食で咲かせよう!こどもたちの笑顔の花」がテーマだ。
十和田子ども食堂は、子どもと保護者に無料の食事を提供している。
地域のつながりを作り、余裕があまりない人に楽しい思い出を作ってもらうのが目的だ。
実行委員会の代表は水尻和幸さん。
多趣味で工作が得意、頼めば何でも出てくる四次元ポケットのような人だ。
体型もそれっぽいので「十和田のドラえもん」と命名した。
そんな水尻さんにいろいろ聞いてみた。
――どうして子ども食堂を始めたんですか。
仕事で知り合った弁護士さんと話したことがきっかけです。
十和田市でも子どもの孤食や貧困化の問題が深刻なほど増えていると聞きました。
少子高齢化の進む地方都市では、未来を支える子どもは宝物です。
少しでも苦しむ子どもの役に立ちたいと考え、子ども食堂を始めることにしました。
(ちなみに、その弁護士は中高の同級生である鈴木陽大君である)
――なんでバスを買うことになったのでしょうか。
市内中心部で開催するこども食堂に郊外の児童養護施設で暮らす子どもを招待したのですが、交通手段がなかったり、家族といる子どもを見た際の精神的影響が懸念されたりして、参加が実現しませんでした。
同じように、行きたくても来られない子どもは多数いると思います。
店舗を持たない子ども食堂は、開催できる会場が限定されるので、そのような子ども達への支援は難しいのが現状です。
そこで考えたのが、「バスを利用した、移動する子ども食堂」です。
――バスをどのように改造するのですか。
中古バスをキッチンと客席を備えた食堂車に改造する予定です。
駐車スペースさえあればどこでもこども食堂を開催できるようになるので、事情があって来られなかった子どもたちにも、希望の場所で楽しいイベントと食事を届け、「笑顔の花」を咲かせたいと思います。
バスにはキッチン、食事スペースの他、ミニライブラリーを備えます。
食堂車として車内で食事をできるだけでなく、本を選ぶことができる本棚、本を読むスペースの提供もします。本の提供や、バス内外の各種イベントを通じて、子どもたちが興味の幅を広げて、大きな夢を抱くきっかけにしてもらえれば嬉しいです。
メンバーには経験豊富の多様な人材がいるため、都市部との教育機会格差を埋める取り組みも行うつもりです。
――完成したらどのように活動したいですか。
青森県は子ども食堂が圧倒的に足りません。青森の子ども達が平等にそして豊かに暮らし、笑顔の輪が広がっていくためにも、子ども食堂バスで県内を走り回りたいと思います。
――活動のアピールがあればお願いします。
子どもの貧困と孤食の問題は社会全体で考え、地域で一緒に取り組む必要があります。
子ども食堂バスで県内各地を周り、食事だけでなく、みんなのあたたかい「こころ」も届けます。多世代多職種の方々と交流しながら子どもたちに夢を語ってもらい、それが実現できるようサポートしていきたいと思います。
大人と子どもが変われば地域が、社会が変わる!
日本初の子ども食堂バスが、皆様のあたたかい「こころ」を満載し、青森県十和田市から出発します!そして美味しく楽しい食事をみんなのところへ届けます!
すべては子どもたちの笑顔と未来のために!AMBITIOUS AOMORI !
~取材を終えて~
十和田子ども食堂は毎回、楽しそうな子どもの笑顔があふれる。
運営メンバーはお金も出してボランティアで作業もするので、負担はある。
だけど、終わった後は充実感と心地よい疲労感に包まれる。
あれこれ準備で相談する飲み会もとっても楽しい。
40歳にして与えることの喜びを改めて教えられた。
不惑を迎えて、「何を重視して生きるべきか」という自問を繰り返していたが、「家族」以外の答えを得た思いがある。
少子高齢化により何もしなければ地域は衰退していく。現状を保とうとするなら個人、集団間のつながりを強化して支えあう環境を構築しなければならない。
善意で成り立つ子ども食堂を訪れた子どもに感謝の心が生まれ、善意を誰かに返す連鎖が起きれば望ましい。他人への優しさに溢れた地域は誰にとっても暮らしやすいものになる。
世界平和が理想だけど、スケールが大きすぎて実現は難しい。
だけど、局地的になら理想的地域を成立させることは不可能ではないはずだ。
子ども食堂がその第一歩になればいいな、と思う。
コメントを残す